2004年から年一回のペースで、2〜3ヶ月の短期集中連載という形で発表されている「金田一少年」シリーズの最新作『雪霊伝説殺人事件』の解答編です。
密室内にいきなり現れ、そして消えた死体の謎と、犯人が持つ「鉄壁のアリバイ」の謎を解き明かす事が大きな焦点となる訳ですが、はっきり言って「死体移動」の方は机上の空論にすら至っていない程無理のあるトリックとなっています。
この作品が少年マンガ誌に掲載されているエンターテイメント色の強い作品で、厳格なリアリティや理論武装が求められる類の作品では無い事は重々承知していますが、「本格ミステリー」を名乗る以上、もう少ししっかりしたトリックが必要だと思いますね。
一方の「アリバイトリック」の方は、成立させる前提条件が厳しいものの、「金田一」らしいけれんみあふれる派手なトリックになっており結構楽しめました。
ラストの絞め方も綺麗にまとまっているだけに、「死体移動トリック」が低レベルだったのが余計に悔やまれますね。そこさえまともなら「金田一シリーズ」の傑作に挙げられそうな内容だけに残念です。まぁお約束のお色気シーンが皆無ではなかったのは救いと言えましょうか(笑)。
今巻巻末にははじめに恋するアイドル歌手・速水玲香が登場する短編『速水玲香と招かれざる客』が収録されています。彼女は下巻のカバーに登場しており、どんな形で『雪霊伝説』に絡んでくるのかと期待していたのですが、実はこういった形での登場なワケですね。まぁコメディタッチの短編とは言え、久々に彼女をメインに据えたストーリーが読めるというのは、昔からのファンには嬉しい所です。
ちなみに、ストーリー展開が『金田一シリーズ』では珍しいパターンなのですが、同じ制作者による『探偵学園Q』の方では何度か使用されていたパターンになっています。故に双方読んでいるファンには「どこかで見た展開」となってしまうのがやや残念ですね。