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金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)
 
 

金沢・酒宴 (講談社文芸文庫) [文庫]

吉田 健一 , 四方田 犬彦
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

金沢の町の路次にさりげなく家を構えて、心赴くまま名酒に酔い、九谷焼を見、程よい会話の興趣に、精神自由自在となる“至福の時間”の体験を深まりゆく独特の文体で描出した名篇『金沢』。灘の利き酒の名人に誘われて出た酒宴の人々の姿が、40石、70石入り大酒タンクに変わる自由奔放なる想像力溢れる傑作『酒宴』を併録。

内容(「BOOK」データベースより)

金沢の町の路次にさりげなく家を構えて心赴くままに滞在する、内山という中年の男。名酒に酔い、九谷焼を見、程よい会話の興趣に、精神自由自在となる“至福の時間”の体験を深まりゆく独特の文体で描出した名篇『金沢』。灘の利き酒の名人に誘われて出た酒宴の人々の姿が、四十石、七十石入り大酒タンクに変わる自由奔放なる想像力溢れる傑作『酒宴』を併録。

登録情報

  • 文庫: 250ページ
  • 出版社: 講談社 (1990/11/5)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061961055
  • ISBN-13: 978-4061961050
  • 発売日: 1990/11/5
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
私は短編集「怪奇な話」を読んで作者に興味を持った。文学に対する大らかな姿勢、英語における関係代名詞を繋げた様な捻った文体を使用しながらも明快な論旨を持つ文章を背景に、ユーモアと諧謔味に溢れた奇譚を仕立て上げる手腕に感心した。本書では、短めの長編「金沢」、短編「酒宴」の2つの代表的作品を収めている。

「金沢」は、内山と言う男が金沢の別宅で体験する"仙境的な饗宴"を、冒頭でも述べた独特の文体で綴ったもの。場所は金沢である必要はなく、主人公は内山である必要はないと言った事情が巻頭で捻った文体で説明される辺りがまず可笑しく、小説にリアリズムを求める姿勢を嘲笑うが如くである。ある物がその物でなければならない事由を説明・追求する意図はサラサラなく、時空や認識を超越した物語を指向している様である。だが例えば、「今の束の間に比べれば永遠というようなことは意味を持たない」と言う一文は気が利いてはいるが、地の文で述べられると違和感を覚える。全体として一幅の水墨画の印象を漂わせる意匠なのだから。読者は作者が導く桃源郷的世界に身を任せて置けば良いと言う体裁だが、名作の誉れ高い作品にしては興趣が薄い様に映った。表面的な風雅の裏にある作者の理知的思弁が前面に出過ぎていて、本手法で長編を支えるには少々キツイ感がある。

「酒宴」は、"飲兵衛"を主人公にして、通常の文体で書かれたエッセイ風のホラ話。酒好きが気儘に綴った他愛もない内容で、可もなし不可もなし。

「怪奇な話」によって得られた期待感が強過ぎたせいもあって不満足な内容。長編を書く構想力やエッセイを綴る能力において不充分なものを感じた。
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14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By tomomi VINE™ メンバー
形式:文庫
美食家として人気が出たのは、みんなが親しむきっかけとして悪くはないが、その後ぜひ「小説」にたどりついてほしい。

翻訳者としても多くの業績があり、随筆家としても一流には違いないが、小説作品をどれか一つでも──とりわけ本書収載の作品を読むと、根底から評価がくつがえる。

他の誰も書くことのできない、独自のスタイルをきわめた小説です。

センテンスが長いのは、翻訳を手がけてきた所為もあるかもしれないが、この文体でなければ、この「時間感覚」を書き切ることは難しいのかもしれない。何作か読んで馴染んでくると、一種の中毒症状をきたしますね。自分で書くときに、つい真似をしてしまう。

あなたも、ぜひ、真似た文体で何事か綴ってみてください。

これは、一種の「快感」です。
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22 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 これは、傑作です。驚いた。最初、何だよ、これ、って感じで、その文章の冗長さに呆れながら、そのインテリジェンスの匂いぷんぷんする言葉の晦渋さに、怒りながら読んでいったのだけれど、次第に圧倒されていってしまった。

 怖れいった。その晦渋さ、インテリジェンスも、その理由が読者に納得させるだけのものが、作品の中にちゃんと描かれてある。そして作品自体面白かった。自分の文学観が、少々変更されるぐらいの、ちょっとした衝撃があった。

 東京の神田に住むある中年の男が、不意に金沢に移り住む。永住するのではなし、気ままに赴き、一軒の家を借り、様々な人を訪ね歩く。とにかくこの内山と呼ばれる主人公は、アイデンティティの一切を最初から喪失している。そして「時間がたたせるのではなくてたつものであること」において、その金沢という停止した時空で、ヨーロッパ/東洋という対立の軸を根本とした、あらゆる事態の融合を、茫漠と広がった目の前に風景に観る。

 七〇年代日本の、傑作中の傑作の小説。

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