評者は著者による姜尚中氏批判については姜氏の二つの立場――冷酷な視点が要求される政治学者という立場、係累が北朝鮮の人質に取られているかも知れないという在日という立場――を考慮して判断を留保したいが、しかし、北朝鮮への批判について極度に腰が引けていた――「日帝36年」「差別」を持ち出されると口をつぐむ――日本人の知識人への批判には強く共感する。昨今の“右傾化”を補完する勢力こそ、これらの“進歩的知識人”や“護憲派”であることをこの本は明らかにしている。北朝鮮は相手の良心に付け込む悪魔であるという指摘には納得だ。悪魔に対して言うべきことを言わない日本の左派の多くは、大衆に見捨てられて早晩消えてしまうだろう。そうならないためにも、左派にこそ広く読んで欲しい本だ。