いい意味で、「吹けば飛ぶ綿毛のような」作品たちがびっしり、なんせ全集ですから。
金子さんといえば「大漁」とか「わたしと小鳥とすずと」とかが有名ですが、これらの詩にひとびとが飛びついたのは、「子供の目線」だの「慈愛」だのがキーワードとなっていたからだと思いますが、じつは金子さん自身はそんな深い意味を込めてこの詩を作ったわけではないと私は考えるのです。子供はまっさらな存在ですから、「慈愛」なんてものはある意味あとづけで非常に大人臭いシロモノですからね。
自然と一体化したような、風が吹いたらふわっと舞ってどこかに行ってしまう、そんな非常にナチュラルで非・エゴな多数の作品をこの本で目にすると分かるのです、上のようなことが。
いい意味でなんにも考えてなかったあの頃……非常に繊細で脆く、でもだからこそ美しかったあの頃を思い出させてくれる貴重な本です。
三冊組でハードカバー、函入り、和紙のような風合いのケースも素敵で、また文章にはごちゃごちゃした余計なイラストはないですが、章ごとのタイトルのページにだけほんのりと墨で可愛いまるで押し花のようなイラストがちょんまり。
別にソフトカバーの小冊子「金子みすずノート」も付いていて、そこにはみすずを発掘した矢崎節夫氏による貴重なみすずの歴史が詳細されています。のめり込むように読みました。
……というわけで、お勧めなのであります。