在野の金専門家(高橋氏)とマルクス経済学者(奥山忠信氏)による合作という、異色の書。両者は金の「魔力」の方で意気投合したようだ。
紙幣はしょせん紙切れだ。通用しているのは国家が券面の金額について支払いを約束しているから。要するに国が負った負債である。世の中、誰の負債でもなく、歴史的にマネーとして通用してきたものは結局金しかない。
これが「金の魔力」である。この魔力を知れば知るほど「金の魅力」が出てくるというのが、本書の主張。ドルが金と縁を切ってからまだ31年に過ぎない。縁切りした時の当局者が、今の米政権には結集している。世界経済が曲がり角に来て戦争のにおいも濃くなる中、米国は金の封印を解く…。発想を刺激するシナリオを語っている。
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本書はいたずらに金投機を勧める相場本ではない。現実離れした学術書でもない。あくまで、海図なき時代を生き抜かなければならない庶民のためのメッセージだ。まずこの点が、本書を素直に向き合える理由だ。2部構成の第一部「金があなたの資産を守る」では、高橋靖夫・国際投資経済研究所所長がポリティカル・エコノミー(国際政治経済学)の手法で金の真実を抉り出し、「逆ニクソメショック」ともいうべき金の復活シナリオを示す。「金本位制として金が甦る」と題した第2部では、奥山忠信・埼玉大学経済学部教授が貨幣としての金の歴史からその将来を描き出す。
高橋氏は1995年、『金 新時代への架け橋』(総合法令)で、デフレ時代における金投資の必要性を訴えた。「インフレヘッジとしての金」という錆付いたセリフに縛られたマスメディアやマーケットでは、氏の主張を理解できなかった向きも少なくなかった。しかし、その7年後、日本では78年の「金の完全自由化」以来第12回目の金ブームを迎えた。氏の主張が証明されたのだ。
金だけでなくドルは、米国は、そして世界の通貨制度はどこへ向かっているのか…そうした疑問に正面から取り組んだ本書は、知的興奮に溢れてもいる。
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