この本は、量子力学を形式・操作の面からではなく、概念的に理解したい方に特にお勧めします。細かいことが意外なほど丁寧に説明されています。
内容は、量子力学が成立していくまでの過程を丁寧に追って書いたものです。量子力学以前にどのような問題が研究されていて、それをどのように実験・思考の両面から解決し、新しい理論に至ったかが流れるように書かれています。
学部生のときにこの本をまじめに読んでいたら、物事に対する考え方で随分違った道を歩んだ気がします。サボることに懸命で本当の意味の物理(科学)の何たるかは理解できていなかった・・・DiracやLandauはあくまで結果を知っている人の視点から書かれており、言わば未来の人の視点です。リアルタイムに問題を見ている人がどのように取り組むべきかの指針としても一読の価値が高いと思います。朝永先生は序文で既にそういう方針を述べられていますが、本文はお人柄を感じさせる香り高いものとなっています。
そして、人に教えるということがどういうことか気づかされる点も多かったです。
余談ではありますが、学部初年度の開始に当たって現代物理の構成とそれに必要な分野(力学、電磁気学、関連数学など)を概論的に丁寧に解説してくれる時間があればなぁ、と思っています。そうすれば、先の見えない講義で行き当たりばったりな勉強をしなくても良かったのにと感じます。高校物理と専門物理は内容が(アプローチの仕方も)全然違いますから。