このシリーズの各巻の出来の差は激しい。
しかも,各巻の中でも複数の著者が書いたためか相当な差がある。
このことだけは先に述べておきたい。
この巻と II の出来はそこそこである。
I では「第8章 力学系の対称性」の記述が素晴らしい。
むしろ,I の全てであるように思う。I の他の章の内容に関する説明は
優れた本がいくつもあるので,そちらを参考にすべきだと思った。
II は他の本では記述されていない内容のオンパレードで,
現代の量子基礎論や量子情報理論の萌芽にあたる内容が記述されている。
研究者が新しく研究課題を見つけるには十分豊富な内容である。
要は,特定のトピックをつまみ読みするのに適している。
しかしながら,教科書としてはディラック,朝永,J.J.サクライなどにより
独力(J.J.サクライは,ほぼ独力)で書かれた本には遠く及ばない
(力作・名著だからこそ残った,という側面もあるが)。