タイトル通り量子力学を学ぶ準備という目的に特化して書かれた本です。そのため例として取り上げている力学系も1粒子系など比較的単純なものに限られています。本書の特徴はラグランジアンの対称性と物理量の関係を論じ、そのために無限小正準変換を駆使していることです。一般の力学の教科書にはこういう議論はあまりないので、参考になると思います。
レイアウトから受ける印象よりは手ごわい本で、最後の方は特に難しいです。章末の演習問題は次の章の準備をしているものと、理論的に重要なことを問題の形で紹介しているものがあって、どちらも難しいものが多いです。でも、前者は次の章で詳細に説明されるし、後者は巻末に詳しい解答があるので分からなくても心配いりません。
二重振り子は出てこないし、仮想仕事の原理もダランベールの原理も扱っておらず、古典力学の本として見たらかなり物足りないものです。でも正準変換を紹介する辺りまでは難しくないので、手始めにこの本でラグランジュの方程式、ハミルトンの方程式、正準変換といったことに馴染むのもいいかもしれません。