訳者和田純夫氏の『シュレディンガーの猫がいっぱい』を読んで、多世界解釈がやはり最もわかりやすく論理的(というのは結構くせ者だが)と思えた。
本書はそれをさらに詳しく説明しているが、量子論の様々な解釈を広く見渡し、非常に明晰な分析をくわえていて、類書の中でもわかりやすさという点でピカイチではないかと思う(といいながら、私にはついて行けない箇所がいくつもあったけれど)。
純然たる入門書ではないので、少なくともエンタングルメントとはどんなことか、ぐらいの知識を持っていないと話について行けないだろう。
もうひとつ、和田氏の翻訳者としての力量についても素晴らしいと言っておきたい。量子論関係の翻訳書も多いが、日本語のクセが鼻につく訳者もいて、手放しでほめられる書物は少ない。その点、この問題の専門家でもある和田氏の翻訳は日本語表現という点から見ても非常に優れていると思う。