量子力学を研究している者ですが、大変わかりにくい本でした。
本書は、原理的に全く同じことを、3回説明しています。
その「原理」こそが量子テレポーテーションの肝で、筆者はそれだけでも分ってもらいたく、丁寧に記述しているつもりなのだと思います。
しかし、それが全くの逆効果で、量子力学を履修した人にとっては、くどく感じる割には、本書の説明では溜飲が下がらないでしょう。
また、入門者にとって分り易いかといえばそうではなく、「分らないのが当然。量子力学を勉強しなさい」という一言で、説明を放棄している部分も多々あります。
おそらく分った気にすらならないでしょう。
また、文章自体も読みにくいです。
そもそも、筆者自身が述べているように、エンタグルなどの概念は、数式を使わないでは説明が困難です。
しかし、必要な数学はそれほど難しいものではないので、同じことを難易度を変えて3回も説明するくらいなら、初めの1章で必要な道具立てをするべきだったと思います。
筆者はこの分野の第一線の研究者です。その価値で☆ひとつ。
本書自体はあまり意味がないかと思います。
少し労力が要りますが、筆者自身が書いている、より専門的な本がありますので、そちらで勉強する方がずっと良いです。