量子コンピュータを基礎的な理論から説き起こす解説書です。理学部、工学部の2年次以上の選択科目にピッタリの教科書となっています。
第1章「量子コンピュータと量子力学の概要」
第2章「ノイマン型コンピュータ」「チューリング・マシン」「ブール代数」
第3章「量子力学の基本」「波動力学」「行列力学」「不確定性原理」
第4章「量子チューリング・マシン」「キュービット」「量子ゲート」「ショアのアルゴリズム」
第5章「量子暗号」「量子情報通信」「量子テレポーテーション」「量子プログラミング」
第6章「量子コンピュータの実用化と問題点」
たった175ページでこれだけの内容を解説しますので、全編が要点といった趣き。理解があやふやなままで先へ進むと、途端にわけがわからなくなります。
本書が教科書として優れているのは、日本の大学では「量子コンピュータ」といった学科を履修する学生の多くが、量子コンピュータを理解する基礎となる学科を履修しているとは限らない現状を踏まえている点です。必要な箇所に的を絞って様々な分野の基礎理論を簡潔にまとめており、親切です。ただし一般教養科目の教科書としては、前提となる理科や数学の素養が高度過ぎますので、ご注意ください。
繰り返しますが、本書はきちんとした教科書なので、「読み流してもイメージがつかめる」ことを目指した一般向けの科学書とは、体裁も内容も異なっています。読物としての面白みも乏しいです。一般の方には『
量子コンピュータとは何か』『
量子コンピュータ』などを勧めます。