量子エンタングルメントは非常に不思議な現象なので、説明することも理解することも難しいと思います。それでも自然科学の魅力的な現象の代表のようなものなので、興味から本書に期待する人も多いのではないでしょうか。しかし、本書の内容は非常に敷居が高いです。内容の殆どは、量子エンタングルメントを検証するための光学実験の説明に充てられているからです。電磁波である光の量子的側面や高度な実験系の説明が多く、それらを理解できる読者はどれほどいるのだろうかと疑問に思います。また、同じ場所という意味も含むようにとらえられる「同時」という言葉や「値が確定した状態の重ね合わせ」など、読者が混乱する文章が多いです。本書を根気強く丹念に読めば、量子エンタングルメントをある程度理解できると思いますが、この現象について知りたい方より、むしろこの検証実験に興味がある方向きだと思います。