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量子の海、ディラックの深淵――天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯
 
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量子の海、ディラックの深淵――天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯 [単行本]

グレアム・ファーメロ , Graham Farmelo , 吉田 三知世
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,465 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

反物質の存在を予言したディラック方程式をはじめ、ディラックの海、ディラックのデルタ関数などで著名なポール・ディラックは、1933年にノーベル物理学賞を受賞した周知の天才物理学者だが、そのパーソナルな側面はほとんど知られていなかった。本書はその現代物理の発展と表裏一体になされた、目の覚めるような業績をわかりやすく解説すると同時に、人間ディラックの知られざる側面を、豊富な文献に取材しながらリーダブルなスタイルで紹介する、サイエンスファン待望の1冊である。無口に関する単位が彼にちなんでつくられたほどの、寡黙で人嫌いと思われた科学者は、ソ連当局に逮捕された友人のロシア人科学者のために東奔西走するロマンティックな一面や、父親との確執を長く引きずる暗い一面などを持つ一人の人間だった。誰もが初めて知る天才の素顔を、愛惜するように、余すところなく紹介する科学者伝の白眉。

内容(「BOOK」データベースより)

偉大な先達から「一番の変人」と評された科学者の本格的評伝。無口に関する単位が彼にちなんでつくられたほどの寡黙で非社交的な科学者が示した人間的側面とは?読み応えと知的好奇心の充足を保証するサイエンス・ノンフィクション。2009年度コスタ賞受賞。

登録情報

  • 単行本: 620ページ
  • 出版社: 早川書房 (2010/9/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4152091606
  • ISBN-13: 978-4152091604
  • 発売日: 2010/9/24
  • 商品の寸法: 21.4 x 14.6 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 87,796位 (本のベストセラーを見る)
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By Nutrocker トップ1000レビュアー
アインシュタイン、ハイゼンベルグといった天才たちに比べ、ポール・ディラック(1902〜84)は
その業績の偉大さにも関わらず、人間としての実像がほとんど一般には知られていない物理学者である。本書は彼の82年の生涯を、さまざまな資料にあたり緻密に描き出した一代記だ。

厳格な教育者であった父との確執、物理学者として認められるまでの道のり、
彼の理論が実験によって認められ、若くしてノーベル物理学賞を受賞し、
ユダヤ系ハンガリー人の女性と結婚し、アメリカに移り住む。
家族関係・交友関係、晩年の生活まで、よくぞここまで調べたと思うほど
細密な描写が続くが、620ページの大作にもかかわらず、飽きずに読みとおせる。

彼の非社交性、他人の感情に関する無理解など天才特有の欠点も
数々の知人の証言から明らかにされるが、スターリンとの関係に悩んだ
ソ連のカピッツァを親身に助けるなど、人間的な温かい側面も充分描かれている。
また当初は哲学を軽蔑していた彼が、次第に哲学的な思考に目覚めていく過程も面白い。

原題の”The Strangest Man”とはニールス・ボーアがディラックを指して言った言葉である。その他オッペンハイマー、ラザフォード、パウリといった著名学者たちが綺羅星のようにディラックの周辺に登場する。彼らが繰り広げるドラマは物理に関心ある人たちには実に興味深いだろう。
量子力学などに詳しくない読者でも、ディラックの生涯を
追ううちに、科学史・世界史に親しむことのできる優れた評伝である。
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By
相対性理論と量子力学の融合という大仕事を完璧な手際でやってのけたディラック。数学的美の権化のようなイメージのある彼が、しかし、この大仕事を完成させえたのは、実は、彼がもともと受けた技術者としての訓練があったればこそであったと彼自身は証言している。洗練とは無縁に思える技術屋の数学があのディラックの方程式の洗練された美の由来!? これはもう必見のパラドクスです! 謎解きの詳細は本書をご覧ください。

そして、次なるは、長年にわたり科学コミュニティに流布してきたディラックの無口すぎ伝説の思いがけない秘密。面白おかしいエピソードの数々として伝説化されてきたディラックのあまりに有名な無口さは、それこそがディラックの天才たることの証というようなとらえかたをされてきた観がありますが、著者ファーメロは、ディラックに接した人々の証言なども踏まえて、驚くべき見解を提示しています。天才の文化的イメージの問題にも大きく関係するはずの重要な見解です。必見。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
量子力学の電子に関するデイラック方程式などで、ポール・ディラックは有名である。その輝かしい業績を残しているが、それとは反対に人物としては、彼の方程式以上に謎に満ちていた。ブリストルで電気工学を学び、量子力学の創生期に、ハイゼンベルクやパウリ、シュレーディンガーなどと共に、現代の量子力学の基礎的業績を挙げ、ケンブリッジ・トリニティカレッジで、ニュートンの就いていた教授職の後継者と成った。これは英国では破格の名誉であり、且つ、その才能を誰にも認められたと云う事であろう。二十世紀の理論物理学に、多大な曲芸的業績を残しながら、その背後に隠れた人間としての半生と性格は全く未知であり、「不思議な人」と云う以外にいい様の無いものであった。この本がその謎に、幾分かの光を当てている事はうれしい事だ。彼の弟子であったパイエルスやチャンドラセカールの記述の中には、ディラックの奇人的性癖が、傍目には実に面白く書かれている。彼らが、自分のアイデアや論文の原稿を見せて、彼の講評を仰いでも、彼はいつも、「イエス」、つまり「そうですね」としか言って呉れなかったらしい。その異常な無口さ、寡黙さは、伝説的にもなっている。一体、何ゆえに、ディラックは、そういう性格に行き着いたのだろうか?彼が、物理学に求める完璧性、美しさは、彼のスタイルの基本と成っているが、それと、無口は関係有るのか?。また、物理理論に関して、名人とも云いうる審美眼を持っていたらしい。

この本の中で、初めて知った事だが、彼の父親は、社会的には熱心で有能な教育者として名を知られていたが、その実、家庭的な側面では、家庭内の者にしか分からない程、専制的な父親であったらしい。「母をいつも虐めていた」と、ディラックは語っている。この本を読みながら、投稿者は、ジグムント・フロイトの家庭を思い起こしていた。彼の家庭も、父親は専制的で、その反動としてか、若い母親は息子のフロイトを溺愛した。母親を廻って、父親と息子は、常に、競合者、敵対者として現れている、少なくともフロイトは、親子関係をその様に認識している。この様な関係は、フロイトがその概念を作り上げた「エディプス・コンプレックス」として、遠い昔のギリシャ悲劇(エディプス王)のストーリーを思い起こす。ディラックの家庭は、どうも、父親の専横でストレスの亢進した家庭であったらしい。彼の兄は、父や弟との確執から自死している。その衝撃は、深くディラックの心に傷付け、永く癒される事の無い「心的外傷」をつくり出した。 彼は周囲に、対人関係の垣根を作った。それらの心的傾向は、信頼できる人間関係を築く為の障害となり、周囲と交流する為の困難さを、作り上げて居たのだろう。ディラックの父親が、フランス人であった事は既知であったが、その苗字がフランス南部に残っているとは知らなかった。謎の人物に光を当てた伝記としては、これが初めてでは無かろうか?
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