本書は読書好きの方のみならず「野蛮人 = 今まであまり本を読んだことがない人」への道案内だそうです。
「週刊プレイボーイ」の連載(08/10〜10/03まで)を再構成、加除修正を加えたものです。
第1章 人生を豊かにする書棚
第2章 日本という国がわかる書棚
第3章 世界情勢がわかる書棚
で250P、全57回で1回につき2冊が紹介されます。2冊は大体類似したテーマのものや掘り下げるものに
なっています。週刊連載で一回あたりのページ数は4〜5Pの割とあっさりしたボリュームです。
第4章 「頭脳を鍛える談話室」は40P、前の章で紹介された本の4人の著者との対談になっています。
「テンペスト」池上永一氏、「出星前夜」飯嶋和一氏、「資本主義はなぜ自壊したのか」中谷巌氏、
「ウェルカム トゥ パールハーバー」西木正明氏です。
以前に読んだ「功利主義者の読書術」に比べると1冊の紹介に割いているページ数がかなり少ないので、
最初物足りない印象を受けました。ただ毎回のはじめに、選ばれる2冊がそれぞれ5行程度100文字前後
の短文で概要説明されているのですが、これをよく読むとこの時点で本文の解説への関心が沸きまくる、
とても上手な面白い説明です。このページ数なので「佐藤氏が味わいつくす書評」というよりも
「テーマ別の佐藤氏のナビゲート、ブックガイド」という性格のものだと感じます。
次第に、このスタイルに慣れて楽しめました。
(これは私が近年まで、活字は専門書か雑誌ぐらいしか読むことがなかったまさに本書が想定する人間で、
純粋に「本の紹介」にひときわ興味があるからこう感じるのかもしれません。)
ちなみに何冊かは「功利主義者の読書術」と被っています。
個人的な佐藤氏の印象は明らかに「インテリ」ですが、特にその視点の高さのようなものが魅力的です。
それは知識のないものを上から見下すというような意味ではなく、むしろある意味腰は低かったりして
(「週プレらしい」ものも中にはあります。。笑)、そういうものに拘らない「問題意識」の高さ。
またキリスト教というバックボーンもあるのか、大変な目に遭われたからなのか、弱者への優しさというか
痛みを知るものの視点で、時に歯に衣着せぬ厳しい指摘を含みつつも、前向きな姿勢が私は好きです。
そんなようなものを一番感じたのが飯嶋氏との対談、P270からの記述でしょうか。
「回答を急がず、答えを出さずに不安な状況に耐えることが大事」「耐える力こそが教養」、
結果として自分では何一つ解決できなくても、教養を身につけていれば耐えられるし、流されて愚かな
行為に走ることもない、これもひとつの現実的な応援メッセージのように感じました。
・・ちなみに読了後、私は興味が沸いて多数の本を注文しました。