2010年夏、日本を騒がせた大相撲の野球賭博問題をきっかけに、スポーツ界の八百長・賭博問題を考察しています。
相撲だけではなく、プロ野球の黒い霧事件、メジャーリーグのブラックソックス事件、競馬といった他の分野での事件も丁寧に振り返ります。こうした問題をリアルタイムで経験していない私のような世代には、いい復習ができます。
著者は江戸時代の大横綱・谷風が情にほだされて勝ちを譲る落語「佐野山」を何度も引き合いに出し、こうした人情話を喜んできた日本人の嗜好を指摘します。果たしてこれも「八百長」として糾弾されるべきなのか。
ひとくちに「八百長」といっても、裏社会の資金源となっている今回の野球賭博のようなものと、佐野山を同列に論じることへの誠実なためらいが感じられ、好感が持てました。「賭博は八百長のゆりかご」という指摘にも説得力があり、必ずしも同一視されないこのふたつが親密に結びつく訳が丁寧に書かれています。