早稲田の大学院に通われた桑田さんの研究成果と社会人コースに学んだ体験が紹介されています。
対談相手の平田氏は、大学院の担当教授で、桑田さんの先生に当たります。この方が、また大変なキャリアの持ち主で、経産省からJリーグ専務理事に転進した後に、Jリーグクラブの経営者養成の必要性を痛感し、早稲田にスポーツ科学研究科を開設したという人で、この方が鬼になって指導したと言っていますから、相当高い要求が出されていたものと思います。
桑田さんは、学ぶことが大好きで、講義はいつも一番前の席で受けていたそうです。手には電子辞書。判らないことがあればその場で確認します。
質問は恥ずかしがらずに判るまで聞くのだそうです。
その桑田さんの研究テーマは「野球道の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」で、随分漠然としていますが、内容は少しでも野球を齧ったことのある方ならすぐに思い当たることです。
体育会系という言葉に象徴される、体罰、上級生のいじめ、長時間練習、精神主義、絶対服従、千本ノックといったアナクロ的要素が最も色濃く残っている世界が野球です。特にアマチュア野球。
何故、そんなことになったのか。どう手直しをしてゆくべきか、ということです。
アカデミックな世界に身を置いたことで、自らの体験を客観的に語っていますが、PL学園で1年生でレギュラーに抜擢されたということは凄いことですが、それ相応のしごきを受けることでもありました。
同級生の清原さんは、1年で4番でしたが、打てば打つほど上級生からのいじめが激しくなったのだそうです。
野球を心から愛しながらも、矛盾する性格を持ち合わせる「野球」に対峙していたことが桑田さんの独特のキャラクターを作っていたように思えます。
今の日本の野球の原点は、早稲田大学の飛田穂洲の「野球道」にあります。桑田さんは、日本の野球史を遡り見つけ出します。その背景には、戦争があります。敵性スポーツである野球を守るために、国防に役立つことを主張したのが飛田理論でした。
そのまま、その主義は現代にまで生き続けています。
桑田さんのことは、PL学園で甲子園に登場したときから知っています。図抜けたキャリアを持つ人が真剣に考え抜いた主張には、やはりずば抜けた説得力が備わっています。
飛田穂洲以来の野球が変わる日がやってきたように思いました。