板倉梓著「野村24時」第一巻、作者待望の竹書房による初の単行本、表紙を一見して解るように一人の「さえない男」と三人の「かわいい女の子」の物語である、が、本作は「萌ハーレム」でもなければ「ラブコメ」でもない、(それらに似たニュアンスは持つのだが)少々特殊ではあるが「4コマ」の保守本流とも言うべき「ファミリーもの」である。
本作に登場する人物は主人公である「さえない中年男性」(野村)を始めとし、なぜか彼を同居にさそった「天然スイーツ長女」(雪)「クール次女」(月)そして「おじさん好きのコスプレ三女」(花)はみな、それぞれの胸のうちを抱きながらも一つ屋根の下暮らしている擬似家庭は、(特に野村の節度より)多少のぎこちなさを残しながらも仲良くすごす、そこには「家庭の味を知らずして育った男」と「若くして両親を失った姉妹」の家族愛への渇望が根底に流れている・・・と思うのだが作者は得意のポーカーフェイスぶりでその深遠を覗かせてはくれない、結果「若い身空で中年男性を同居させている娘たち」の「本音」は巧みに隠され、「乙女心は解らない」描写となってあらわれ、それが「野村」(と読者)を翻弄するのだ。