苦労人で、もと南海の強打者で、ぼやきの野村監督が野球論を語る。多くの場面では、選手の実名を出して、技術論を説いている。これらは野球ファンの観点から読むと面白い。しかし、それだけだと、野球技術書になってしまう。本書の目玉の一つは、第7章「指揮官の重要な仕事は人づくりである」だ。選手に必須の要件を、自ら気付かせる様にしむけ、一方では、広い意味の後継者を育てる事を重視する。
これらの事は野球という枠のみの事ではない。
実社会に広く当てはまる部分が多い。
本書の優れた点は、枝葉末節的な技術論に終始している様に見えて、
実は、その積み重ねの中から別の視点のポイントが浮かび上がってくる、
という事だ。
特に、会社などの「組織」で仕事をする人間にとって、
改めて考えさせられる部分が多い。
著者が知ってか知らずか、含蓄のある書になっている。