田中氏関連の作品、イラストの美麗さに
惹かれて購入。しかし、やはり田中氏が
本質的に手がけたものでないだけあって、
一連のシリーズ、深みからなんから足りない
ものは多い。
特にうーん、となるのが「女」の描き方。
荻野目さんは本質的な“女”の「野心」や
「強さ」というものを見抜いていないのでは
ないか?と思えるくらいに「ありがちな気の強い女の子」
していてヒロインの良いイメージが届かない。
これでは、他の美少女キャラが登場する
作品の方がずっと「女」だ。
エレオノーラはいわゆる女版ラインハルトの
つもりかもしれないが、正直に言って
安い昼ドラの女でしかなく、高貴さは伝わらない。
田中氏が書く女はもっともっと覚悟と肝が据わっていて、
ちょっとやそっとでナヨ竹にならず、たいへんに自立している。
女であることをはっきりと自覚しつつも、
男にへたな敵意むきだしの微妙なフェミニズムとは無縁で、
ある意味たいへんにニュートラルな存在で描かれるから、魅力的なのだ。
どんなに高貴な身分でも、結局は「ふつーの女の子」
でしかない中途半端な描き方をするくらいなら
田中氏のイメージを踏襲して描くのではなく、
完全なオリジナルとしての荻野目作品を
世に出すべきではなかったか??
正直小悪魔とも呼べないほど、彼女のキャラ立ちは
貫徹性がなく、それにともなってストーリ展開から
他の登場人物にいたるまで、なにもかもが希薄に思えてならなかった。
ユリアンがヤンになれないように、
田中氏の持ち味は所詮田中氏でしか
つむぎ出せないのだね、と実感する作品。