いいお話でした。
昔から作者のファンで、すべての作品を読んでいますが、
こちらの作品はそのどれとも違います。ですがたしかに長野さんの作品です。
昔の作品が好きな方には好みが分かれるかと思います。
最近の作品では、現代設定のような作品が多いのですが、その中でも
異世界異空間につうじる非日常がかいまみえ、俯瞰的な表現というのが
私の長野さんのイメージでした。
ですが「野川」はまず現実的ありき、地に足をつけた目線で物語が語られます。
そんななかで、登場する教師があざやかな長野さんの世界の存在を見せつけて
くれるのは陳腐な表現ですが、まるで魔法のようです。
現実的なぶん、また今回は男性同士の云々といった要素がないので、
今まで見えにくかった心のかよう様子がストレートに伝わってくるのが印象的でした。
「白いひつじ」とならんですばらしい作品だと思います。
あらためてファンになる、そんな一冊でした。