お地蔵さんにまつわるちょっと不思議な話はよくある。お地蔵さんは、今の時代になってもよく手入れされている。いったいお地蔵さんって何なんだろうと気になってきた。
本書によって道端にある石造物はお地蔵さんだけでないことを知った。道祖神、石碑、石塔など種類が豊富にある。神道系とも仏教系とも決められないものが少なくない。庶民にとっては神も仏も区別する必要がなかったからである。
そもそも野仏は、なぜ路傍や野辺にあるのか?
かつての神社は、村の鎮守とゆうより、有力者の氏神を祀る場であった。寺院も豪族の菩提寺の意味合いが強い。庶民の信仰の場ではなかった。
神社の神は天空から舞い降りる「降臨の神」。
これに対して、道祖神などは「遊行の神」とされる。道に沿ってやってくる神。その祭場は路傍がふさわしい。仏教系の野仏も古来の土俗的な神々との習合を経て庶民的信仰へと発展した。
野仏は江戸時代に定着したものである。神社や寺院に比べると歴史は浅いものの、庶民の信仰心の厚さはより大きい。庶民の信仰の念が強く長く続いたことによって、野仏は何かの力を発揮するようになったのではないか。
全国のパワースポット巡りもいいが、ご近所の野仏を探してみると、新たな発見があるかもしれない。そのとき本書が役に立つ。新書判なので携帯に便利。写真が大きくて鮮明であり、色合いがきれいだ。