著者は、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『オーデュボンの祈り』で言葉を話すカカシを登場させ、『陽気なギャングが地球を回す』では、特殊能力を持ったギャング団一味を軽妙なタッチで描いてみせた伊坂幸太郎。奇想天外なキャラクターを、巧みなストーリーテリングで破綻なく引っ張っていく手法は、著者の得意とするところである。本書もまた、春という魅力的な人物を縦横に活躍させながら、既存のミステリーの枠にとらわれない、不思議な余韻を残す作品となっている。
伊坂流「罪と罰」ともいえる本書は、背後に重いテーマをはらみながらも、一貫して前向きで、明るい。そこには、空中ブランコを飛ぶピエロが、一瞬だけ重力を忘れることができるように、いかに困難なことであっても必ず飛び越えることができる、という著者の信念が感じられる。とくに、癌(がん)に冒されながらも、最後まで春を我が子として支援する父親の存在が、力強い。春が選んだ結末には賛否両論があるに違いないが、「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」と春に語らせた著者のもくろみが成功していることは、すがすがしい読後感が証明している。(中島正敏)
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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ミステリーではなく家族の物語,
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レビュー対象商品: 重力ピエロ (新潮文庫) (文庫)
ハッキリ言ってしまうと、ミステリーにしては浅い。春の秘密や放火事件に関しても、まあ先の読める展開ですので、ミステリー好きには物足りない展開だと思います。 この作品の良いところは、一貫して爽やかなところ。 テーマ自体がもの凄く重く、書き方によってはひたすら暗く、救いようのない感じになりますが、 この作品はそれを美しく描きだし、爽やかさを保ったまま走っていく。 大きな起伏もなければラストにどんでん返しもない。 読者が裏切られることもありません。 しかし、一貫して軽い文体だからこそ、読後感はすっきりしています。 ただ、伊坂幸太郎の特徴でもある、作品間のリンクや知識のひけらかしが微妙かも。 話自体は面白いのに、妙にリンクさせたり、知識をひけらかすことで話が膨らみすぎている感が否めません。 良くも悪くも伊坂作品だなという気がしました。 個人的には話が面白かったので☆は3つです。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0
私には馴染みませんでした,
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レビュー対象商品: 重力ピエロ (新潮文庫) (文庫)
小説にはエンタテイメントを求め、ミステリーには「そんな結末が!」というのを楽しむ私には苦痛でした。同じような会話や出来事がだらだらと続き、堂々巡りをしているかのようでした。 これだけ高い評価もあるのだから、私には馴染まなかったということでしょう。
33 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
重力は。,
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レビュー対象商品: 重力ピエロ (単行本)
本屋で、タイトルに惹かれて手に取りました。そして、一気に読み終えました。 遺伝子などの専門的な話も、登場人物が会話の中で詳しく説明しているため、 それほど困ることなく読み進めることができました。 この作品の魅力。 その1つは、登場人物がとても魅力的だということ。 とくに、主人公の両親と探偵には、惚れ惚れします。 そして、言葉の魅力が絶大で。 はっ、とさせられる言葉がたくさん溢れています。 話自体も、意外性はとくになかったものの、面白かったと思います。 でも、最後には、これで良かったのか?と、 登場人物だけでなく、読者も考えたくなるのではないでしょうか。 重力。 でもそれは、消えたり消したりできるものではなくて、 忘れさせることはできる、そういうことなんじゃないかな。 それが私の中での、正解のない答えです。
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