今、まさに日本一を競っているご存知中日、落合監督が、監督としての思いの丈を余すところなく語っている作品。タイトルは「采配」となっているが、別に試合に於ける采配術を語っているだけではなく、監督としての選手達へのアドバイス、プロフェッショナルとはどういうことなのか、練習とは?競争とは?成長とは?心構えとは?・・・という思いを、トータルとして「采配」と言っている。これを読むと巷間「俺流」と形容される「落合流」とは、決して自分勝手な唯我独尊型の言動なのではなく、自分の経験に基づく、至極、理屈に合ったシンプルな「落合思考」であることがよくわかる。レベルアップのためにはこう考えるべき、プロ野球選手としてはこういう気概を持つべき、そして試合に勝つにはこうあるべき・・・という落合監督の考えが一つ一つ、ひどく真っ当な考えで語られ、それがすべてプロ野球チームの監督として「勝つこと」に通ずる。という信念というか、驚くほど明快で理路整然とされている考え方が手に取るように理解でき、この監督にしてこの考え方ありきなんだなと納得させられる、非常に興味深く読ませてくれる作品だ。何より自身の現役時代、監督時代を通しての成功体験に裏付けされた言葉は自信に溢れ、そして説得力を持っている。時に無愛想で冷たい感じに取られることもあるようだが、それは「現実」という厳しい社会で生きて行くために、きれい事ではなく、本音でその「厳しさ」を語るがゆえにそんな評判に取られがちなのかもしれないが、その実、とても選手愛、チーム愛、野球愛に溢れていることがこれでもかというくらいに伝わってきて、8年間で4回優勝、Bクラスなしというこれ以上ない監督成績を修めたのも十分に納得がいく。監督の仕事とは、ファンが望むものは「勝利」であるという信念を貫き、実際それを実行してきた落合氏は今年で一先ず監督業を終えるが、氏であればどこの監督をやったとしても成功を収めるであろうと思わせる。尚、あの物議を醸した2007年の日本シリーズで8回パーフェクトの山井投手の交代劇についても明確に語られている。野球ファンには必読ともいえる作品だ。