「苦難の果てに最強の武術『酔拳』を完成させた伝説の武術家、蘇乞児の激動の半生を描く」とはあるものの、武術家の実録物と思って見ると大間違い。序盤は清朝の兵士と反乱軍の戦いから始まるが、いつのまにか「天上の剣」のような武侠ファンタジーに変わり、最後は「SPIRIT」のような異種格闘技戦で幕を閉じる。もっとも、「天空の剣」も「SPIRIT」もユエン・ウーピンが関わっていたので当然と言えば当然。それだけ多様な要素が入り混じった作品となっている。本格的な武術アクションに加え、ワイヤー・アクションはもちろんのこと、CGも多用している点でこれまでの香港アクション映画とは一線を画すものがある。
チウ・マンチェクというとジェット・リーの代役でウォン・フェイフォン役を演じていたことは記憶にあるが、武術家としても実績を残しているだけのことはあり、ジェット・リー同様に「本物」のたたずまいを持った俳優である。そして彼の妻を演じたジョウ・シュンは、チャン・ツィイーやヴィッキー・チャオらと並ぶ中国の人気女優。「始皇帝暗殺」の冒頭で荊軻に殺される盲目の少女を演じていたが、永作博美に似た雰囲気の美女で、何とも言えない色気があって魅力的だった。悪役のアンディ・オンも含め、メインキャストの存在感もさることながら、ミシェル・ヨー、ジェイ・チョウ、ゴードン・リュー、デヴィッド・キャラダイン(彼にとっては遺作となった!?)らの大物俳優が脇役として出ている点も見逃せない。
突っ込み所は満載だが、中国=香港映画らしさのあふれる快作である。