東洋人が、いかに身の回りの自然や生活用品を象徴化し、自己を哲学的にして芸術的で、美的な空間に位置づけたかが、よくわかる作品です。
老舗の日本料理屋などに行くと、インテリアやそのデザインになつかしさを覚えると同時に、感銘を受けることがあります。ごくごく普通の大衆的なお蕎麦屋さんでさえそのようなことがあります。しかし、懐かしさや、感銘を感じると同時に感じるのは、「もう2度と手に入らない」「すでに失われてしまっている」という感覚です。
この著書を読んでいるとちょうど同じような感覚にとらわれます。
著書で紹介されている東洋思想・東洋哲学に裏打ちされた自然観・生活観は、われわれが生きている世界観よりももっと深くもっと豊かなように感じます。それは、中国大陸という自然環境の厳しい状況や政治的にも生きていくうえで厳しかったであろう世界だからこそ生まれたものだったのでしょう。
では、日ごろ自由な時間が少なく、生活から精神的な豊かさの欠如してきている現代人も、もう一度この生活に密着した美的価値観に立ち戻るべきではないか、と私はそのように感じます。
ストレスが多く生活にゆとりのない人こそ呼んでいただきたいです。