日本橋界隈を舞台とする、6編からなる短編集で、商家を中心にした話がほとんどを占めます。
どれも人との縁をつよく感じる作品ばかりです。
縁あっての恩返し、巡りめぐる縁、切れない縁と作品により描かれていることは様々ですが、時には人の成長も感じられ、セリフや話の展開がつくづく巧いなと思いました。
心に残る作品は人それぞれだと思いますが、私は次の3作品。
「隣の聖人」は、笑いを誘うような文面もあり面白みもありましたし、「松葉緑」は、題名が粋な小道具となり、続編も作れそう。そして「花屋の柳」では、花屋が看板として店先に柳を植えることを、今回初めて知り、人は心の有り様により見方が変わることを感じさせてくれました。
侘しい余韻を残す話もありますが、大方が、ささやかながらも幸せが待ち構えていそうな結末で、読後感がいい作品が多かったです。星の評価は、極めて5に近い4です。