初めてともいえる鉄道本、
仰天列車でスベった秀和システムが、リベンジというわけでもないだろうが「今度のはなかなかやるな」と思わせる鉄道本を出してきた。
300ページにもなる厚い本だが、鉄道線路の配線をテーマに、見開き2ページごとに1項目ずつ、現場での線路観察、配線図の書き方、パソコンでの作図の仕方などから始まり、単線のすれ違い、ホームの配置方法、分岐駅・交差駅・終端駅での列車の交差による支障などのメリット・デメリットを実例を挙げながら詳しく解説。
ただ、幾何学的に平面交差していれば確かに列車同士が支障するのであるが、どの程度のダイヤの過密度ならその支障が問題あるのか、あるいはないのか、またそのターミナル駅はそういう配線の工夫によりどれほど列車を増発できたのか、というような定量的な話は少ない。
内容的には、最近の都市鉄道(つまり電車列車)的な配線の取り上げ例が多く、単線区間ですれ違いと追い抜きが同時に起こるような地方路線の駅などの例はほとんどない。
また機関車列車のための配線の話は機回し関連で2項目(4ページ)、展望車付き特急の方向転換で1項目(2ページ)しか出てこない。昔の例でもよいので、機関車交換をする駅とか、補機を連結・解放する駅、機回しの他に機関車自体の方向転換も必要な蒸機の運転に特有な配線、それにハンプや仕分け線、のこぎりホームなど旅客駅とはまた一味違う貨物駅にも言及して欲かった。
路面電車の「併用軌道では交差点を挟んでホームを千鳥配置することはないようだ」とか、?というような記述や図に渡り線の記入モレなども散見される。
図の表現に関しては、他にも見づらいと意見している人がいるように、やはり東西向きの路線は地図と合わせて欲しかった。
とはいえ、現実の路線を忠実に配線図にした本は今までもいくつかあったが、配線図だけをこれだけしっかり一般向けに解説したものはこれまで無かっただけに、それだけでも十分評価に値する。特に運転席かぶりつきファンにはたまらない内容だろう。
川し○令三氏のように「こういう配線はダメで、こうしなければならない。変更しない鉄道会社はけしからん。」というような感情的な所はなく、淡々とロジカルに解説しているのもよい。テクニカルライターだという著者と、出版元の秀和システムの本領が発揮されたか。
追記:2009年10月、著者の続編とも言える
ダイヤグラムで広がる鉄の世界が出た。セットで読んでみたい。