登録情報
|
この本、鄭和の活躍振りを題材としつつ、時間的にも空間的にも、とにかく壮大なスケールでユーラシア・ネットワークの興亡を描こうとするものと言えます。ところどころ、マニアックに思える部分がないでもありませんが、総じてメリハリも程よく効いており、良い出来栄えだと思いました。
最近では、18世紀以前の世界においては中近東を含むアジアこそが先進地域であったという指摘がなされている。この本の題材となっている鄭和の大遠征も(やや時代は遡るが)その一つの証左とも言えるだろう。バスコ・ダ・ガマがようやくインドに辿り着いた時の人員はわずか170人、対して鄭和の遠征は2万7千人。この格差を考えれば、鄭和が欧州に足を踏み入れなかったのは、(技術的要因というよりも)当時、欧州が後進的で足を伸ばす価値もない地域と認識されていたという事が推測され得る。
この本は、当時の中国における背景や渡航の事実についても要領よくまとめられていて非常に読みやすかった。