首都ソウルのど真ん中。1日17万台もの自動車が通る高架道路を取り壊し、その下を流れていたどぶ川暗渠に光を当て、清い水が流れる憩いの川にする大事業「チョンゲチョン川再生プロジェクト」。このプロジェクトをいかに実践してきたのか、その主役であった現在、大統領である李明博元市長の手記である。言うは易く行うは難し。李氏は、この事業を公約として市長選を戦い、当選する。「不可能だという理由は数多あったが、可能性を示す条件は少なかった」。しかし、李市長は諦めない。「どうしてやりもしないで、不可能だというのか。人事を尽くして天命を待つというではないか。たとえ困難だとしても、我々は必ずやり遂げなければならない。そう信じて精魂を傾けて熱心にやれば、必ずよい結果を結ぶ。これが向かい風にあらがって歩んできた人生から得た教訓である。」
そして、一つ一つ課題に取り組み、解決していく。交通渋滞について対応し、洪水という自然災害とも戦う。世論と政府を見方にし、難しい高速道路撤去工事を遂行する。歴史的遺産が発掘され、その徹底保全を主張する人たちとの交渉、商人との移転交渉、そして露天商達との対立。この本は、単なる巨大プロジェクトの成功物語ではない。一大ドラマというか大活劇である。はらはらどきどきさせられながら、一挙に読ませる。結論は知っているが、それでも、こんな展開になって次はどうなるのだろう、と思わせられる。市長という仕事が本来的には素晴らしい仕事であることが理解できる。しかし、その仕事を素晴らしくするには、市長の資質が問われるのである。李氏は素晴らしい資質を有している。