都市を,権力,飢餓,地方との対比,などの観点から考察した作品。
都市を考える上では,権力との関係が欠かせない。
権力は,将来的な”保証”を約束したうえで個人を”支配”する。
権力の象徴たる都市においては,その要素は,政治・経済・宗教・教育・医療にある。
都市はこれらにより,安全・生活・幸福・教養・健康を保証する代わりに,人々を支配する。
これらは都市が持つ権力である。
飢餓が発生するのは,食料を生み出している農村においてであり,
食料を生み出さない都市においては発生しない。
それは,農村が生み出す農作物は,その農村に食料が充足しているか否かに関わらず,
社会的な余剰を生み出すことという目的を都市によって規定されているためである。
飢餓を被るのは常に貧農であるという事実を淡々と記述する中に,
筆者の怒り・無念にも似た思いを感じた。
都市は地方の資本によって形成される。
地方の人・物資は都市に流れ,その逆の流れは相対的に少ない。
それらは”権力の中心”に流れていった。
最後は人間の欲求や権力のありかたに言及する。
”技術的に可能だからといって,3000メートルものビルを
建設しないこともまた人類の叡智なのである。”
という言葉は心に残った。