「なぜ、文化財保護法は都市の歴史的建築物や美しい町の風景の保存に大きな力をもちえなかったのか」を都市の建築物の視点から応えた好著。著者はもと文化庁の建造物課技官で、欧米の諸制度と実態にも通暁した視点で随所に鋭い分析と指摘がある。「救うべき対象」が無くなる前に今こそ動くべしとの著者の熱い思いとNPOの役割など即効性ある具体的な提案が魅力的である。都市に関わる諸制度が苦手の人はまず、衝撃の「'V 文化財保護法の失敗」から読むのもよい。古社寺優先の保護行政のかげに、今や死に体の「都市の記憶」がある。建物だけではなく全ての「都市」を愛する人必読の書。蛇足だがこのことは都市や建造物だけの問題ではない。