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5つ星のうち 5.0
都市生活の中での、ヒリヒリとした美しい「感触」を,
By Confesion Del Viento (東京都文京区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 都市の感触 (単行本)
筆者が、1980年代の都市での生活に於ける思考及び考察、というより寧ろ都市的「感触」を、自らを「男」という三人称の視点で置き据え、書き連ねたエッセイ集。日野氏の論考は、テーマが一貫しているのに、飽きが来ません。何故なら、普通はただ抽象的な形而上学的思考で終わらせてしまうようなところを、科学的・宇宙論的・身体論的視点から、さらに細密に厳密に考察しようとしているからです。そしてそれを、常に現実に我々が生きている時代に起きる事象や、実際に生活している場所と重ね合わせてこういったエッセイを書かれていることから、日々何気なく気に留めなかったことや考えもしなかったことが、作品を読んでいる内にゾクリと立ち現れ、リアルタイムで生活している空間に亀裂が走ります。 些細な日常生活での、一つ先の次元のメタ意識を体感したい方に、この論考集はお勧めです。また、時にユーモアやジョークを交えた文章も楽しい。私的に日野氏のエッセイ集の中でも特に好きな一冊。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
進化する意識への希求 ,
By 悠史郎 (東京都豊島区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 都市の感触 (単行本)
1987年「群像」誌上で一年間連載されたエッセイ集。原題は「一九八七年触覚的考察」。八十年代中期、バブル出現を前にして物質的リアリティーが急速に失われてゆく都市の相貌が浮かび上がってくる。この時期の日野が半ば好意的に、そしてある種の期待感を込めて時代を捉えているのが伝わってくる。日野は自らが乾いた個の存在であることにアイデンティティーを見出す作家である。農耕民族的土着体質を嫌悪する。都市がコンクリートに覆われて鉱物化してゆき、その環境の変化によって日本人の集合的無意識にも変化が生じるのではないか。いわば自分のアイデンティティーが普遍化するのではないか。日野はそう夢想していたように見える。ちなみに時代は日野の期待を無惨に打ち砕くべく変転を遂げ、「八十年代後期は書けなくなった」とのちに述懐しているのを他誌で読んだ記憶がある。90年代、そして現在の日本のスタート地点が垣間見える論考集。日野の意識的知性と無意識的想念が鋭く交錯している。
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