道一つ越えれば違う顔が見える、奥行きの深い東京の街を、バスという視点からうまく切り出している。東京駅から荒川土手、または東京駅から金町というコースをたどり、所々で下車してぶらぶらと見てつづる景色から、都心から郊外へという変遷を色よく感じさせる。江戸川区内に残る漁村の雰囲気、下町の市場の賑わい、武家の中心地の風情、博物館や大学といった文化の香りなどなど、バスを降りて見つけた著者のちょっとしたエピソードが「バスで旅をしている感」に花を添えていてまたよい。しかし後半にあった、乗り継ぎで環七半周、明治通り完走っていうのはやや過酷そうではあるが。
著者自身も言うように、もう少しゆったり感は欲しいが、東京の持つ味わいは出ていて、読むと紹介された場所へ足を運びたくなる。ちなみにp45「世界一大手!松井」っていうのは、やっぱり「王手」の間違いなんだろうな…