書店で見かけて、少し迷って、手に取った。
表紙のデザインに「焚書」とある。
・部下とわかりあえるようになる必要など全くない
・ついてこれないような部下は(育てるのではなくて)取り替えてしまえばいい
・会社に民主主義はいらない、部下の一票と上司の一票が同じでは組織はなりたたない
こんな具合である。
こんなことを面と向かって部下にいう上司はいない。
しかし本書に書かれていることは、極めてまっとうである。
経験のある上級管理職にとっては、当たり前のことである。
だからこそ「焚書」なのである。
無能で、反抗的で、批判はしても提案はちっともしない、そういう部下は切り捨てればいい。
そう、本書はいう。
しかし無能な部下を切り捨てよ、ということが本書の主題ではない。
逆に、上司は無能な部下を容赦なく切り捨てるだけの能力を維持せよ、というのが本書の主題である。
・部下を育てることではなく会社の業績を上げることが上司の使命だから「部下が自分で育つような環境づくり」には全力をつくせ
・部下を育てない代わりに、部下のモチベーションには深く深く、真剣勝負で関与することが求められる
これがどれだけ大変なことか。
これだけの能力と気力を維持できてこそ、部下を切り捨てる資格のある上司たることができるのであろう。部下よりもやはり、上司のほうが何倍も大変である。
少なくとも本書は、部下との人間関係に悩める上司に対する慰めでは決してない。そのようにも読めばむしろ害である。そうではなくて、組織における全ての問題は、上司の側にある。そのことを本書は指摘している。すべての上司は、「本物」の上司たるべし。
とはいえ、部下に対して言いたくても言えなかったことをズバリ言ってくれたことには快哉を送りたい。とはいいつつ、本書に快哉を送るようでは、上司としてはまだまだ半人前かもしれない、そのようなことをつらつらと思った。