著者は、これまで郊外について言われてきた言説を大きく2つにわけます。まずは社会学者達による、伝統やコミュニティの不在の指摘。つぎに建築家達による、オリジナルで優れたデザインの不在の指摘。
こうして大きく2つの視点から批判される郊外ですが、著者は自らが郊外地居住者であるという視点から、郊外で生きることこそが現代人の生きる条件なのだと議論します。そして、たとえ浅くても、そうした郊外で積み重ねられてきた記憶を辿っていこうではないか、というのが全体のテーマです。
あとは、優秀な著者のことですので、時折引っ張ってくる文化論や統計データも説得的で、勉強にもなります。「生きることの条件としての郊外」論の視点が、一通り身につくと思います。