第三の男に隠れた名作。ようやく念願の再発売となりました。
具体的な映画の内容や評価は、前発売時のレビューに多く記載されておりますが、そちらの評価も満点です。
モノクロ映画の真髄を発揮するような、まさに「光と影」の描写。その映像の素晴らしさだけではなく、主人公であるジョニー(ジェームス・メイスン)の立場・心情における「光と影」も同時に描き出している。おそらく、本質は日本人には深く理解できない部分もあると思われる、西洋の宗教的感覚がこの映画全体に広がっている。それは理解するには、おそらく字幕ではなく原語を完全に理解しないといけないのだろう。英語での全編のシナリオが、もしあるのならば読んでみたい。
特に印象に残る主人公のセリフは、銃弾を受け負傷した肩の応急処置が施されたあとの、朦朧とした意識の中で、若いころ聞いた司祭の教えを回想しながら語り、宣誓する、「子供のころの感覚を無くしました。子供のような純粋な生き方、考え方を失ってしまい、同時に慈悲の心も失い、私には今、何も残っていません。」という言葉です。そういう意味では、ある種哲学的内容も含まれています。
しかし、決して、難しい場面だけではないので、エンターテインメントとして「第三の男」と併せて見ることをお奨めします。