興味深く読んだ。
何から得られたかは別にして、この本で、今までの論争にない革新的な仮説を打ち立てているのは、それだけでも十分価値がある。
(東大系にしろ京大系にしろ、今までのアカデミックな卑弥呼に関する歴史書も、十分にオルカチックだからだ。)
この著者は得られた仮説を、無闇に強弁する事もなく丁寧に論考を進めており、実に説得力がある。
なお、下関市の大和町は、江戸期以降の埋め立て地に出来、古い地名ではないこと、長門付近も、豊田湖畔も、冬は季節風が強くかなり寒いので、冬の居城として過ごしやすいかどうかは疑問があることは指摘したい。
ただ、豊田湖に近い美祢には分厚い石炭層が地表に露出しており、容易に採取できる。暖を石炭で捕っていた可能性はある。
また、付近には於福や長登などの鉱山があり、現在はほぼ取り尽くされてしまったが、銅、鉛、亜鉛、銀の鉱脈が走っていた。古い花崗岩や熱変性石灰岩地帯なので、鉄や金、あるいは水銀なども古代には採取できた可能性がある。
(卑弥呼が爪を赤く塗っていたとすると、水銀化合物の辰砂を塗っていたこともありうる。)
卑弥呼の一族がこれらの金属資源も交易して、莫大な財力を蓄積し、これを背景に軍事力を拡大していったことも考えられる。
中国のコンメイがヤマト民族の発祥の地という仮説は、照葉樹林文化圏の山岳民族になかに、日本語によく似た言語を使う小数民族が、かって、テレビで紹介されたことを思い出させる。
・・・等々、読み進める内に、いろいろと思い当たるフシがでてきて、実に面白い。
今後のさらなる続編を希望します。