記紀を読んでいると、出雲をどのように位置づけたらよいのか疑問が湧いてくる。神武以前は「神代」の出来事としているが、大国主の命の国譲りの物語については詳細に語られる。神話の物語だとして理解すべきなのかもしれないが、全くの絵空事とはとても考えにくい。そして、邇邇芸の命は出雲ではなく、なぜ高千穂に降臨したのだろうか?
近年になって神庭荒神谷遺跡から358本の銅剣、賀茂岩倉遺跡からは大量39個の銅鐸が出土した。古代には出雲に一大文化圏があったことは疑いない。
安本氏は魏志倭人伝にある邪馬台国を高天の原に擬し、天照大御神は卑弥呼の神話化し伝承化した姿であるとする立場をとる。この観点に立つと歴史との整合性もよく、記紀の物語がよく理解される。安本氏の本は読者によっては好悪があるかも知れないが、日本古代史に興味のある人は是非、読んでおくべき本だと思う。