非常に評価の難しい作品である。
この内容ならこんなページ数いらないでしょというのが本音。
かといって、堂場のものはもう読まないというかと、次回作を期待してしまっている。
ただ題名が大袈裟であるのは間違いないところである。
作中、アメリカのハードボイルドものをそのまま引っ張ってきたのかと思うようなところがたびたびあり、
それが現在の堂場の迷いを証明している気がしてならない。
どの方向に向かうのか模索中というか、
いままでは、書きたいものがあって、それをひたすら書いてきたのだが、
いまや、売れっ子となり、無理やり頭をひねり出して書いているのが見えてしまっている。
前作のレビューで、どなたかが、料理にまつわる話をあまりにも「うざい」と評していたが、
そうでもしないと枚数が稼げないのかなぁと思ってしまう。
今作品でも、本筋にたどり着くまで240ページを費やしている。
それまではどちらかというと、どうでもいい話が続く。
伏線らしい伏線もない。まったくもって、迷走といわざるを得ないのだ。
今の堂場を見ていると、
「青学」つながりでいうと、
ジャンルは違うが、
尾崎豊が思い出される。
尾崎が「尾崎」足りえたのは、
いわゆる若者の代弁者であったデビュー作「17歳の地図」からアルバム「卒業」までであって、それ以降は、歌いたいことがなくなり、作品に行き詰まりを見せ、
ついには薬に手を出し、挙句あのような不幸な事態となった。
出版社との契約で書き急ぐより、
今の堂場には、休息が必要なのではないか。
高城賢吾という主人公は、じっくり熟成させるべき人物だと思う。
私は堂場が好きだ。
だから3年でも、5年でも待つ。
「8年」という高水準の作品でデビューしたため、
ほかの作家よりも高い地点からの出発となり、
受けるプレッシャーも相当なものであったのだろう。
ここらでちょっと休憩してもいいのではないか。
中公文庫、
書き下ろしとはいえ、
900円は高すぎないか。