鹿住さんの書くキャラは世間知らずで考えの甘い、よく言えばのんびりほのぼのとしたキャラが多く、それが鹿住さんの個性であり、魅力であることは間違いない。
だが今回は、残念ながらそれが裏目に出てしまったとしか言えない。
そもそも、23歳にもなって、確たる当ても何もなく、ただ会社が合わないからというだけの理由で辞める根性が甘すぎる。
その上、家賃を43万も滞納していながら、家主の好意に甘えるばかりで必死に働こうとする気概も見えない。
イラストレーター志望なのはいいが、なんとか認められようと努力している様子も描かれていない。
だから、まさに棚からぼた餅状態で降って湧いた遺産を、いらないと断っても説得力のカケラもない。
ないない尽くしで、泰生はただただ利信に押し流されていくばかり。
泰生に対して、利信のしっかり者さを強調したかったのかもしれないが、これではあまりにも泰生が情けない。
まして、利信は18歳。
23歳のオトナが18歳の子供に押し流されてどうする、と思わずツッコミたくなってしまう。
鹿住さん、上手の手から水が漏れてしまったかな、という一冊。