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遺体―震災、津波の果てに
 
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遺体―震災、津波の果てに [単行本]

石井 光太
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

2011年3月11日。40000人が住む三陸の港町釜石を襲った津波は、死者・行方不明者1100人もの犠牲を出した。各施設を瞬く間に埋め尽くす、戦時にもなかった未曾有の遺体数。次々と直面する顔見知りの「体」に立ちすくみつつも、人々はどう弔いを成していったのか?生き延びた者は、膨大な数の死者を前に、立ち止まることすら許されなかった―遺体安置所をめぐる極限状態に迫る、壮絶なるルポルタージュ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

石井 光太
1977(昭和52)年、東京生まれ。海外ルポをはじめとして貧困、医療、戦争、文化などをテーマに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 265ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/10)
  • ISBN-10: 4103054530
  • ISBN-13: 978-4103054535
  • 発売日: 2011/10
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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By Tomo
 釜石市でご遺体の収容、身元確認、葬送に当たった人たちへのインタビューを丁寧に積み上げた一冊。遺体の腐敗を心配し、「今年だけは春が来てほしくない」と言った安置所の世話役。自分の腕から流れ去った乳飲み子の前で泣き崩れる母親。自分の目の前で津波に消えた人を、後日遺体として見つけてしまう過酷な現実……。取材に応じた人たちは過酷な事態に立ち向かったが、向き合えずに逃げ出した人たち、あるいは、火事場泥棒で檀家を増やそうとする寺の話などもさらりと書いていて、きれいごとばかりでは済ませていない。
 新聞やテレビはどうしても生者の物語に焦点を当てたがる。だが、本当に前を向いて歩くためには、重い重い悲しみを受け止めることから。筆者の思いはそこにある。長く続く再生への苦しい歩みに寄り添うには、まず忘れないこと。忘れない為に、ぜひ手に取ってほしい。
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259 人中、254人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ひろ
この本は、東日本大震災によってつくられた遺体安置所を舞台にして、そこで繰り広げられる悲劇を克明に描いた本だ。

・遺体安置所の管理人・千葉さん
・遺体搬送班・松岡さん
・検案担当医師・小泉さん
・歯形確認担当歯科医・鈴木さん
・遺体捜索担当自衛隊・橋口さん

など十数名の人たちが、どのように遺体を見つけたのか。
どのように遺体を捜索したのか。
どのように、遺体安置所で集まって仕事をしたのか。
そうしたことが、多角的に、群像劇のようにして描かれている。

作者の石井さんは、冷静にこの光景を描写し続ける。
遺体の冷たさをそのまま書き記す。遺体に抱きついてなく女性の叫びをそのまま書き記す。そこに描かれるのは徹底的に冷たい死の世界だ。

しかし、読み進めていくと、そうした冷たい死をなんとか血の通ったものにしようと懸命に努力する人々の姿が描かれているのに気づく。
遺体搬送班の松岡さんは市役所の職員だったにもかかわらず、何百という遺体を被災地から安置所まで運び続ける。同僚たちが精神を病んで脱落していっても、彼だけはやり通す。
医師の小泉さんや歯科医の鈴木さんが遺体を調べていると、次々に自分の患者や友人が遺体として運ばれてくる。しかし、彼らは「なんとか身元を確認してあげたい」という思いで、口の中から砂や体液を書きだして死因や歯形を調べる。

登場人物の中でもっとも感銘を受けるのは、遺体安置所の管理人・千葉さんだ。
普段はただの民生委員なのに、自ら遺体安置所の管理人になるべく名乗り出る。彼は遺体がモノとして扱われることを懸念し、必死に遺体にしゃべりかける。
母親が生まれたばかりの子供を助けてあげられず、遺体の前で泣き伏せていると、千葉さんは遺体に向かって語りかける。

「ママは相太君のことを必死で守ろうとしたんだよ。自分を犠牲にしてでも助けたいと思っていたんだけど、どうしてもだめだった……相太君はいい子だからわかるよな。こんなやさしいママに恵まれてよかったな。短い間だけどあえて嬉しかったろ。また生まれ変わって会いにくるんだぞ」

あるいは、どんどん腐ってくろくなっていく老女がいれば、その娘から化粧道具を借りて死化粧をしてあげる。その時も、遺体に向かって語りかける。

「最後にきれいになってね。もしかしたらあなたの気に入るようにはできないかもしれない。けど、精一杯やるからがまんしてね。あの世でご先祖様に会ったときに、恥ずかしくないようになるんだよ。お棺にお化粧道具を入れておくから、あの世に着いてから思うようにお化粧をしてね。自分でするのが一番美しくなるはずだから」

千葉さんによって語りかけられたり、化粧をされたりすることで、遺体は人間としての尊厳をとりもどすし、泣き崩れていた遺族は救われた気持ちになる。
その積み重ねが、被災者たちにとってどれだけ重要だったことか。

3.11以降、テレビや新聞は一切「遺体」を隠した。
しかし、大勢の人たちが遺体の尊厳を守ろうと立ち上がり、遺族を支えようと必死になり、そうやって復興が少しずつなされてきたのだ。
私はそのことを本書を読んで初めて知った。読んでいる最中何度泣いたかわからないが、最後は驚くほどホッとする終わり方で驚かされた。

これは震災を知るうえでも、今の日本を知るうえでも、日本にこんな素晴らしい人たちがいたのだということを知るうえでも、何十年と読み継がれる本だと思う。
このレビューは参考になりましたか?
84 人中、82人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By sennotaba トップ500レビュアー
ショックで涙が止まらぬかと覚悟して読んだが、そんな風に感情を掻き立てようとする本ではなかった。
偶然生き残り、偶然その職業に就いていた為に釜石の遺体安置所に集まる事になったひとびと。
未曾有の大惨事に感情をかき乱されながらも、未経験の「すべき事」を必死でやり抜いた彼ら・彼女らの姿に多くの事を学んだ。

身内の様に共にこの地で歳を重ねた膨大な知人達の死を目の当たりにし、取り扱わねばならないムゴさ。
自分に置き換えて想像し、さぞ苦しかろう…と目頭が熱くなる。

彼らが身をもって示してくれた、土地と繋がりを持って生きてきた基盤、その底力の必要性を重く受け止めた。
それがなければいかに勇敢な人物でもここまで出来なかったかもしれない。
共に知った仲だったからこそ、その時求められる事を感じとり、最善を尽くそうと真摯に行動できたのであろう。
私もそうなりたいと思った。
私たちにもまだ、できる事、やっておくべき事がある、と彼らに教えて貰った。
すべきことがあるというのは、時には救いになる。
今は特にそう感じる。

単に悲惨の暴露を狙うようなものでなく、その正反対とも言えるこの観点で本を書いてくれた石井光太さんに感謝したい。
日本中いや世界中の人に読んで欲しい本。

追記:民生委員の千葉さんの「のんのんばあ」のような存在感に強く惹かれた。
このような年配者のありがたみ・頼もしさを最近ひしひしと感じる。
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