遺伝子組み換え食品を危惧している人、関心のある人が、一度は目を通しておくべき基礎文献になるだろう。これまでなされてきた主な議論や、遺伝子組み換え食品を巡る事件や事実がうまくまとめられている。
第1章では、生物学の基礎についての記述も有り、大学教養部程度の生物学の知識を得ることができるようになっている。第2章では、著者が実際にスーパーを回って調べた事も含めて、現状が詳細に述べられている。第3章では、組み換え作物の種類と作付状況が述べられており、第4章で遺伝子組み換え食品のメリット・デメリットがまとめられている。第5章では、遺伝子組み換えとBSE、放射能のそれぞれの危険性がどのように異なるのかという事を議論することで、遺伝子組み換え食品の危険性・安全性の特徴が述べられている。
著者の主張は、遺伝子組み換え食品は、科学的に考えると危険性が少ないが、いやな人は食べないという選択肢を残すべきであるということである。反対する人の多くは、感情的に反対しているのに、それに対して科学的にいくら説明をしても効果が無い。内容を明示して価格差を付けて、組み替え、非組み換えの両方の商品を選べるようにすべきだということになるのか。
この本が読みやすいかというと、残念ながらそうでは無い。事実を誠実に述べている部分が多いので、これでもかと言うぐらいに事実の羅列が続くところが有り、途中でギブアップする人が多いのではないかと危惧する。
お勧めの読み方は、後ろから読むこと。まず、エピローグを読んで、第5章を読んで、第4章を読む。1,2,3章は、基礎知識と、議論や事実がまとめられているところなので、必要を感じたときに読めば良いと思う。また、専門用語が頻出するので、これも読みづらくなっている原因か。続編が出るときには、読みやすさをもう少し考慮してもらえると良いかと思う。