書簡形式の(架空ですが)ゆったりした間合いで語り口もほのぼのとしています。一度に多くのことを押し込もうとせず、そこがかえって残照のある効果を生んでいます。脳細胞は年齢とともに減少するが大事なのはむしろ脳神経繊維のネットワーク、これはうまく使えば脳機能の衰えは防止ばかりか向上も可能。音読と計算は脳が反射的処理できないため頭を使う(藤原正彦氏の真骨頂ですね)。笑いとポジティブな精神の効能、遺伝子には元来色々な機能が備わっていて、そのスイッチがOnになるかOffのままかが問題なのではないか(ここは進化論の大論点に触れるところです)、ITの発達でこのスイッチが切り替わらず脳は衰退してしまうのではないか、感受性の低下など高齢世代、一歩手前のレビューアーの属する団塊世代、青壮年世代、そして子供たちにとっていずれも大きな意味を持つことがらが淡々と述べられています。ページも活字も詰め込み主義でなく読みやすい良書です。