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選書日本中世史 1 武力による政治の誕生 (講談社選書メチエ)
 
 

選書日本中世史 1 武力による政治の誕生 (講談社選書メチエ) [単行本(ソフトカバー)]

本郷 和人
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

歴史の見方が変わる!メチエ中世史シリーズ天皇から幕府へ。中世は日本のヘゲモニーの大転換期だった。宮廷と幕府=2つの政権の並立から幕府中心の日本へ。移行の画期としての鎌倉幕府の意義を再検討する

内容(「BOOK」データベースより)

天皇から幕府へ。「文」から「武」へ。中世は日本のヘゲモニーの大転換期だった。宮廷と幕府=二つの政権の並立から幕府中心の日本へ。日本史の大きな流れを分節する歴史の「構造」を解明し、移行の画期としての鎌倉幕府の意義を再検討する。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 242ページ
  • 出版社: 講談社 (2010/5/7)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062584662
  • ISBN-13: 978-4062584661
  • 発売日: 2010/5/7
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本(ソフトカバー)
最近良くTVに登場される本郷先生の本なので、読んでみたら面白かった。

能の世界では、梅原猛vs表章論争というのがあり、文献に頼らず、口承による、或いは偽かもしれない文書に立脚した大胆な推論に基づく「世阿弥の南朝末裔説」を梅原が主張するのに対して、古文書に基づく厳密な歴史解釈により、梅原の依拠する文書が最近作られた偽書であり、何故その偽書が作られたかまでを文献学的に論破した表章の主張とが対立している。誰が見ても、梅原の主張は荒唐無稽の感が否めないのだが、もし表章による反論がなければ、世間への影響力の大きさは断然梅原の方にあるので、世阿弥=南朝説が一人歩きしだしたかもしれない。という意味で、本書が力説する文献による歴史の検証の大切さは良く理解でき興味深い。だが、しかし、極度に専門的で、ある意味で瑣末、緻密かつ大変な労力、経験が必要な分野なので、一般受けしにくい(ロマンがないというやつ)ということも良く分かった。

また多くの本が採用している「権門体制論」が実は皇国史観の影響を大きく受けている、という論点も、一部理解に苦しむ点もあるが、興味深い。権門体制論を著者は真っ向から否定しているが、是非学会で論争が進むことを期待する(でも日本の学会の古い体質を考えると、権門体制論が権威である現状を変えようとする試みは大変だろうなあ。)

目から鱗、知的な刺激に満ちた本なので、中世史好き、歴史好きはご一読を。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 茶々丸 VINE™ メンバー
形式:単行本(ソフトカバー)
 本書は講談社刊行の雑誌『RATIO(ラチオ)』の2007年に掲載された「対談日本の中世論」をベースとする具体的なシリーズの一巻目にあたる。
 著者は近年『現代語訳吾妻鏡』の監修にあたるなど比較的アグレッシブに活動されているようではあるが、一方では研究者として学界組織(例えば歴史学研究会を始め日本史研究会や中世史研究会)には所属しない人物としても一部では知られている(このため著者の処女論文は史学書の専門出版社ではなく、マニア向けの歴史読み物の版元から出版されている)。
 さて本書の内容はシリーズ全体或いは中世史全体をどう眺めるかとの枠組みを提示するよりもむしろ「史料論」的な側面が強く打ち出されている、これが私の第一印象だった。
 歴史研究における基礎作業としての「史料解釈(もしくは史料批判)」を実際に行う時、研究者はどのような姿勢で史料に臨むべきか、との課題に対して著者は
(1)先ず史料を読む
(2)次いで史料を正確に読む
を心掛ける。もしこれらを等閑にした扱いをするならば当然のように、研究者が設定した課題に対する答えは当初予期したモノとかけ離れたこととなる。
 つまり「書いてあるから事実である」のか「書かなかった、書けなかった事実(隠蔽或いは遺漏)」があるのか「事実とは異なる(改竄)こと」を書いたのか、などその史料の信頼性自体も同時に検証する必要がある。所謂「公式史料」を扱う時にはその注意も一層細心に行うことが求められる(公的記録には当局として都合の良くないことは記さないケースが多くこの点は現在でも同様である)。
 こうしたスタンスで叙された本書はこれまで著者が放送大学や東大で行ってきた講義が中心となっている。その上でこれまでの中世史学界の問題点と今後の課題を展望して余りある魅力を持っている。「権門体制論」「東国政権論」それぞれの持つ説得力を吟味しつつ批判している(但し著者の「権門体制論」の理解には疑問の余地がある。また「東国政権論」に関しても佐藤進一氏の構想を十分に踏まえているとは言い難い点もある)。
 著者に対する今後の期待としては、学問上の恩師としての五味文彦氏による「史料至上主義」の呪縛からいち早く脱却し戦後歴史学の王道を行く研究者としての地歩を固めることを願う。著者が所属する史料編纂所は戦後歴史学をリードしてきた先学(例えば稲垣泰彦や永原慶二、網野善彦や石井進など)を数多く輩出してきた組織としても有名である。史料の保存と公開を中核に据えた実直な研究姿勢と学術情報の共有を掲げてきたが、五味文彦氏を中心とするグループに属する方々はどちらかといえば逆のベクトル“内輪の仲良しグループ”的(悪く言えば閉鎖的)な傾向が強い。しかしながら著者にはそうなって欲しくない。象牙の塔に籠もらず様々な学界でサンドバッグのようにボコボコに批判に曝されて活動する姿も必要である。「史料学の東大学派」「歴史理論の京都派」とのように別れて対立する光景が展開されることは歴史学界そのものにとって最も不幸で憂慮すべき事態である。
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21 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
史料を嗤うな 2010/5/12
形式:単行本(ソフトカバー)
東大史料編纂所の准教授だけあって、史料の読み方について深い含蓄がある。
特に第2章で直状と奉書について解説しているところなどは、私のような門外漢には非常にためになった。

中世において(近世でもそうだが)、書状というものは基本的に同じ地位・階層の人間同士でやりとりされる。
だから、たとえば「地位の低い人間A」が「地位の高い人間B」に直接手紙を出してお願いをするようなことは、通常ではあまり考えられない。
その場合、Bの家来でAと同等の地位にある人間Cに手紙を出し、Bへの内容を取り次いでもらうことになる。
Bの意向は、再びCを通じて知らされる。「これこれについて、B様はこのようにおっしゃっています Cより Aへ」という形で。

こうした「取り次ぎ」の仕組みの重要性を、筆者は実例を挙げて分かりやすく解説してくれている。
書状の内容はもとより、このような形式的な面を読み解くことで、当時の人間や組織の関係が明らかになるのだ。
史学というのが史料の丹念な読みに立脚する領域であることが、筆者の手腕を通じて良く伝わってくる。

ちなみに、筆者は中世を「文(朝廷)を抑えて武(幕府)が優位に立つ時代」としており、従来の「天皇の下に朝廷・幕府・寺社が権能を分け合っていた」という「権門体制論」を批判している。

また、後半でいわゆる皇国史観を批判したり、網野善彦氏の実証手続きの甘さをあげつらったりしていところがあるが、それはあまり楽しめなかった。そういう個別の批判は専門の学術誌などでやってほしい。
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