8/30に選挙があったが、是非その前に全選挙民に読んで欲しかった一冊。
民主主義にはいくつかの仮説が存在する。その中の1つ、「集計の奇跡」が前提とする「無知な投票者はランダムに振舞う」という仮説を崩す事から物語は始まる。無知な投票者はランダムではなく、「無知ゆえのバイアス」を持つのだ、と。偏りの存在は、不況の要因が経済学者と一般人でいかに結論が違うかを用いて示される。
著者は、このバイアスの存在理由として「合理的な不合理性」という説を提示する。これは「合理的無知」の拡張版。合理的無知が「無知である事のペナルティが、学習コストを下回るなら、無知なままでいる」のに対し、「合理的な不合理性」は「不合理である事のペナルティと不合理な理解をするコストの合計が、無知である事のペナルティ、本当の知識を学習するコストのいずれをも下回るなら、人間は不合理な説明で納得する」というもの。
このほか、「利己的投票者仮説」なども否定していく。そして、「利他的な愚者」が多数の場合に、政治家がどのような行動に出るか、説明していく。その中には、「優秀な政治家ほど二枚舌を使う」などの結果も示される。
特に最初の方で示される、経済学の常識に関しては『
クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)』などを先に読んでおくと、納得がいくだろう。幸運にも、私はこちらを先に読んだ直後にこの本を読んだので、ものすごくすっきりと納得がいった。
これは是非、次の選挙までに読んでいただきたい一冊です。