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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
映画のように一気に読みました。,
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レビュー対象商品: 遥かなる水の音 (単行本)
周(あまね)が死んだ。「遺灰をサハラに撒いて欲しい」とだけ遺言を残して、まだ27歳という若さで。 周と暮らしていたゲイの中年男性フランス人、周の姉でパリでガイドをしている女性、そして、 高校時代に周と仲が良かった浩介と結衣。周の大切な存在という以外共通項のない ばらばらな人々が、共に旅をすることとなる… 村山さんのロードノベルといえば、結婚した直後に愛する男性を失った ヒロインが、アメリカのネイティブインディアンの元まで旅をする 「翼」という作品があるけれど、その時は、ヒロインの視点だけで 描かれた、旅路は長いけど物語としては「狭い」という感じが少しした。 しかし、今回は、4人の旅を描いているし、なんだか、とてもスケールの 大きさを感じられ、旅が好きではない私も、なにか旅情というか、 凄く遠くの「はて」みたいなところに立ってみたい、と迂闊にも思って しまうような魅力と力があった。 相変わらず恋愛部分は少し自分の好みより甘ったるいとか、 偶然にたよる展開がちょっと多いとか、粗さがしすれば見つかる部分は あるのだけど、読み終えたときは、自分も長い旅を終えたような 充足感と、不快ではない疲労感にほどよく包まれた。 また、パリからサハラまでの道のり、素敵なホテル、モロッコ料理、 雑貨類(結衣と浩介は湘南で雑貨屋を営んでるので、旅先でも ステキな雑貨や市場に興味を持つのだ)などの描写が生き生きと 沢山出てくるので、そのへんも面白い。タジン料理が食べたくなった!
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
都会としてのアフリカ,
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レビュー対象商品: 遥かなる水の音 (単行本)
「野生の風」では動物の王国として描かれたアフリカが、本作ではかつて栄えた古都として異文化の紹介を織り込みながら展開していきます。 青年の遺言で青年の姉、親友、想い人、家族としての同居人、そしてガイドの現地人、 青年を含めたこの6人がそれぞれの事情をかかえた視点から、入れ替わり立ち代わり道程を語り継ぎながら サハラへ散骨の旅をしていきます。ぐいぐいと引き込まれるより、死者を弔う淡々とした旅の中で 時には諍い、慰められながら今の自分の気持ちに気付き、喪ってからでは遅すぎると誰もが分かっているはずなのに その時が自分の身に差し迫ってこないと大切さに気付けないのもまた事実であり。 これから先の方向が見え始めた所で、物語は突然と言ってもいい位の唐突さで終わります。 エピローグなし。それが却ってラストの余韻へと変わるのが心地良い作品です。
15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
カタルシス,
By ブッチー "ブッチー" (群馬県伊勢崎市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 遥かなる水の音 (単行本)
著者にとって、「ダブル・ファンタジー」で、三賞を獲得して以来の、作品。この作品は、主人公(霊となり、俯瞰した存在)、姉、友人のカップル、ゲイの同居人、現地のガイドの それぞれの一人称で、語られている。 物語当初、散漫な印象だったものが、展開するにつれて、一つの「世界」が創造されていく 過程は、見事としか言う他ない。フランスのパリから、モロッコに至る広範囲の作中舞台で、 一人称で語られることから生じるストーリー展開の幅の狭さを克服する上で、著者が、複数の 一人称(視点)を用意したのは、最善の選択だったと思う。 この作品において、恥も衒いも抜きにして、やはりテーマは、「愛」だと思う。 主人公の死で残された登場人物一人一人が抱える「愛への悩み」をお互いに関わり合うことで 気付き、そして自らに「赦し」を与える過程は、「天使の梯子」以来、変わらないテーマだと 感じた。 最後に、著者が、主人公に語らせるサハラの地下に流れる水、生けるものの血潮への描写は、 最高のカタルシスを読者にもたらすものだと思う。
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