SPA風なミクロマーケティングに、いま流行の構造デフレ論をプラスしたような内容。
女性ライターらしい言い回しで軽快な文章となっているが
様々なデータを都合よく切り貼りし、著者の主張に導く書き方は
ベストセラーとなったデフレ某書と似ている。似せているか。
著者の主張を、本書から引用すれば「キラキラ(購入動機)」しない「商品(演出)」が
売れないのは当然で、それをデフレとの因果関係で結ぶのは浅慮ではないかと
言いたいようだ。
本書では、その「キラキラ」を提供できる企業はコストコでありIKEAだと説く。
(何故か外資系)
簡単に書けば、
「デフレ経済下でも売れているモノはある。売れない理由はデフレではなく企業努力が
足りないせいだ。」となるが、
著者はマクロとミクロの問題に区別がなく全く理解できていない。
■
眉をひそめる記述が多いなか、一点を上げると
「90年と08年とのジニ係数の比較でみると社会保障や税制のおかげで大きく格差は
拡大しておらず、むしろ多くの人は貧困層でも裕福層でもない”普通の人”ばかり
だから格差社会には根拠はない。」という一文がある。
しかしジニ係数が、完全失業率をカバーする指標とは思えないし、90年と違い加速度的に
高齢者世代が増加する今であれば、現役世代から所得再分配を経て、高齢者層の
社会保障費に回っていると考えた方が、ジニ係数の拡大幅が大きくない理由としての
整合性があるはずだ。
過去の「一億総中流社会」が「総貧乏社会」に変容しつつあると書いた方が
納得される人は多いだろう。
マーチャンダイジングに(合理的にモノを売るための適切な企業活動)長けている
資本企業がいる裏で、多くの中小、零細企業が倒産し、命をおとす人が年間数万人規模で
いることを、数字ひとつで軽く見てはいけない。