「遠きにありてつくるもの」ということばが素敵です。この本を読むまでは、日系ブラジル人の方々は「中途半端に日本文化を受け入れて伝統ある姿を壊している」と勝手に解釈していました。しかし、本を読みながら、これまでの私の薄っぺらな理解が恥ずかしくなりました。日本に住んでいても、どれだけの人が浪曲や俳句、芝居などに接しているでしょうか。また、遠くブラジルの地で生活しながら、そうした芸能を受け入れ、再生産するのは、とても大変なことに違いありません。本を読みながら、祖父母がラジオで聞いていた浪曲を、丁寧に鑑賞したくなりました。私には「つくる」ことはできませんが、遠くにありてつくってこられた方々のご苦労に思いを馳せてみたいと思います。