「知的生産」にかんしては老舗といってよい「知的生産の技術研究会」は、この分野では原典となる梅棹忠夫の『知的生産の技術』(岩波新書)に触発されてできた団体であるが、その設立40周年記念の一環として、昨年出版された『知の現場』(久恒 啓一監修知的生産の技術研究会編、東洋経済新報社、2010)につづく第2弾が、本書『達人に学ぶ「知的生産の技術」』である。
本書に収録されたの「知的生産者」たちとインタビューのタイトルは以下のとおりである。
すべての情報をデジタル化する(関口和一)
維新へと向かう時代の「知」(茂木健一郎)
独創人のすすめ(軽部征夫)
見る前に跳べ(久米信行)
すべては一%の本質をつかむために(勝間和代)
メディア変革期における情報発信とは(佐々木俊尚)
本作りという知的生産の場に生きる(土井英司)
世界の「現場」で鍛えられた発想と行動力(蟹瀬誠一)
自分の足元を深掘りしていけば必ず新たな知見が見つかる(久恒啓一)
前著 『知の現場』の書評で、「ただ欲をいえば、新しい世代の、情報技術を使いこなして「知的生産」に従事する事例を大幅に増やして欲しかったところだ」と私は書いたが、本書はその期待に120%応えてくれるものとなった。
とくに一般のビジネスパーソンにとっては、目標とすべき「知的生産者」たちが、従来のものと比べて、ずっと敷居が低くなったのではないだろうか。本書に登場する「知的生産者」たちは、自分なりの「知的生産」の方法論を編み出すことによって一歩突き抜けた人たちであり、けっしてもともと天才肌だったわけではない。
いわゆるビジネス書を出版している著者も多く含まれているが、売れ筋のビジネス書の著者の発想の原点がどこにあるか知りたい人にも、大いに参考となるだろう。
ビジネス書には飽きたらず、さらにワンランク上を目指しているビジネスパーソンが「盗み取るべきワザ」に充ち満ちた一冊である。強く薦めたい。