2001年に出た本の文庫化。底本の方はレビューで高く評価されていたけど、ぼくにはとてもつまらなかった。摂関期の政治の実態とシステムを、できるだけ原資料に即して解明するという目標は、かなりの程度達成されている。学術書としてはそれで良いのかもしれない。しかし、さまざまな儀式・祭祀の次第やそれを支える官僚体制の組織構造について、延々と詳細な記述が続くのは、とても一般向けの書物とは思えない。専門用語も、しばしば説明なしに登場する。これでは、素人には読めたものではない。これが今の日本史研究の最前線なのだとしたら、ぼくたちが歴史を読む意味って何なんだろうか? 今の日本社会と日本文化の基底を成す歴史について、誰も、何も学びたいと思わなくなってしまわないか? 本書で唯一おもしろかったのは、「日本における古典とは何か」を論じた「あとがき」である。わずか3ページ強の文章だが、肩の力が抜けた筆致で著者の高い教養と広い視野が語られており、エラクおもしろい。本文も、こういう風情で書いてくれれば良かったのに。学問的であろうとするあまり、伸びやかさに欠けてしまったとしか言いようがない。残念だ。